自筆の遺言書を書くときは
- 秀太郎 南

- 7月9日
- 読了時間: 2分
ご相続があった時、遺言書があると手続が簡単になります。また、完全とは言えないまでも、相続争いを一定程度、防ぐこともできます。
しかし、時折、意図しない問題により、不動産の名義変更に遺言書が使えないことがあります。
法務局(登記所)は、書面審査主義で、提出した書面から読み取れることしか登記に反映させられません。
ご依頼いただいた中で、問題となった例として、次のものがあります。
・「自宅」を〇〇に相続させる。とした例。
この場合、「自宅」の解釈が問題となります。遺言書を書いた方の最後の住所であると
考えれば、一見、問題がなさそうですが・・・
「自宅」とは「家」のことのみを指すのではないか、「土地」のことまで含んでいるの
か、更には、遺言者の方が「私道」をもっていたり、最後の住所(家)の隣接地を持っ
ていたら、それは含まれると言えるのだろうか?という問題があります。
また、住所と言っても、ある区画に存在する数件の家が、全て同じ住所であることもあ
ります。
・私の一切の財産を「山田一郎に」遺贈する。とした例。
この場合、この山田一郎さん(仮名)は、直接の相続人(配偶者や親、子供)ではな く、親戚の一人でした。遺言書には「甥」「姪」「いとこ」などの属性については何も
触れておらず、単に名前だけが記載されていました。
このケースでは、同姓同名の他人である可能性が否定できない、とのことで、遺言書を
使用しての名義変更は認められませんでした。
遺言書の内容は一読了解、余計な解釈の余地が無いようにしなければ、このような問題が生じてしまうことがあります。もちろん、裁判などを経て、遺言書の内容を通すことはできると思いますが、それでは相続人の為を思って作成された遺言書の趣旨に反してしまうようにも思えます。
自筆であっても、お近くの専門家にご相談いただいたり、書店・文房具店などで販売している(通販でもあります)遺言書作成キットを熟読の上ご使用いただく、あるいは公正証書遺言で作成していただくなど、慎重にお作りいただくことをお勧めいたします。
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