相続について②(相続人の調査)
- 秀太郎 南
- 2016年8月20日
- 読了時間: 4分
遺産の調査と並行して、相続人も調査しなければなりません。
被相続人に、配偶者と子供がいれば、その人たちが相続人です。配偶者も死亡していれば、子供が相続人です。
被相続人に、配偶者はいるものの、子供がいなければ、①配偶者と被相続人の両親、被相続人の両親がすでに死亡している場合には、②配偶者と被相続人の兄弟姉妹が相続人です。
被相続人に配偶者も子供もいない場合には、①被相続人の両親、両親がすでに死亡していれば、②兄弟姉妹が相続人となります。
実際は、養子縁組、相続放棄、代襲相続などさまざまな規定が関係しますので、複雑そうであれば、専門家に聞いてみましょう。
不動産も預貯金も、被相続人がお亡くなりになった時点で、相続人が共有していることになります。相続人が一人でない限り、誰か一人が、勝手に全部取得するようなことはできません。そのため、まずは誰が相続人であるかを、公的な書類で確認する必要があります(確認後、相続人全員で話し合いをすることになります)。
公的な書類とは、いわゆる戸籍のことです。戸籍には、誰が配偶者であるか、子供であるか、親であるか、兄弟姉妹であるかが記録されるからです。
ただ、面倒なことに、役所に行って戸籍を1通取得しても、それでは足りないことがほとんどです。
通常、人は一生の間に、何通も戸籍が作られます。
生まれたときは、両親を筆頭とする戸籍の中に、「子供」として記載されています(古いものであれば、祖父母の戸籍に孫として載っているようなことものあります)。
結婚すると、両親の戸籍を出て、別の戸籍が作られます。
「転籍」と言って、戸籍の引っ越しのようなものが行われることもあります(任意の手続きですが、実際に引っ越した場合などに行われます)
法律の改正によって、戸籍の作り直しが行われることもあります(コンピューター化に伴い、縦書き・手書きの戸籍から、横書き・印字の戸籍に変わるような場合など)
このように、何らかのきっかけで、その人の戸籍が作り直されたとき、古い記録に載っている関係者が自動的に新しい戸籍に移動してくるわけではありません。
①結婚して子供が生まれる
②子供が結婚して、新しい戸籍に移る
③法律が変わり、戸籍が作り直される
そうすると、③で作られた戸籍には、②で出て行った子供に関する記載は無くなります。
その後、被相続人が離婚、再婚しているような場合、再婚相手の方は(交流が無いようなときは)、古い戸籍を取得しない限り、その子供たちの存在を知りえないことになります。
多くの場合、ご家族の方は、被相続人にどんな関係者がいるかご存知でしょう。しかし、不動産登記を申請する法務局や、通帳の名義のかかわる金融機関は、誰が相続人であるかは、戸籍から判断するより他ありません。そのため、被相続人の出生から死亡までの戸籍一式を用意しなければならないのです。
戸籍は市役所などで取得できます。役所に備え付けの書類を使用することになりますが、記載の仕方がわからなければ、担当の方にお話しを聞きながら記載しましょう。その際、「この人が亡くなったので、その相続手続きに使います。出生から死亡までの戸籍一式が欲しいです」と伝えていただければ、上記の戸籍を何通か出してくれるものと思われます(おそらく数千円くらいかかるので、多少のお金を用意して行きましょう)。
被相続人の本籍地が別の市町村であったり、別の市町村に転籍している場合には、その役所から取り寄せる必要がありますが、今は郵送でもやり取りができます。
市町村合併で、かつての本籍地が、現在どこになっているかわからないようなときは、ウイキペディアなどを参考にしつつ、その市町村のホームページを見てみるとわかることが多いです。
戸籍の取得は結構大変で、時間がかかることもあります。司法書士など、一定の士業は職権で戸籍を取得することができます(司法書士の場合には、不動産登記などの業務を受けている場合に限ります)。面倒であれば、頼んでしまうのも一つの方法です。
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